
万年筆インクは、既製品だけでも数百色が市場に出回っています。それでも「この色に近いインクが欲しい」という要望は尽きません。インクの調色は、複数のインクを混ぜて目標の色に近づける作業です。ただし、すべてのインクが混ぜられるわけではなく、組み合わせによっては万年筆を傷める可能性もあります。
01 調色の前に確認すること
インクを混ぜる前に、使用するインクの種類を確認してください。万年筆インクには大きく分けて染料インクと顔料インクがあります。染料インクは水に溶けた色素が主成分で、顔料インクは微細な固体粒子が主成分です。この二種類を混ぜると、化学反応が起きて沈殿物が生じることがあります。沈殿物が万年筆のペン先やインク経路に詰まると、洗浄が困難になります。
同じ種類のインク(染料同士、または顔料同士)であれば、一般的に混合しやすいです。ただし、メーカーが異なる場合は、成分の違いによって予期しない反応が起きることがあります。少量で試してから、問題がないことを確認してから使うことをお勧めします。
02 色の混合の基本
色を混ぜるときは、明るい色(薄い色)に暗い色(濃い色)を少量ずつ加えていく方法が調整しやすいです。逆に、濃い色に薄い色を加えると、目標の色に近づけるために大量の薄い色が必要になることがあります。
調色の過程では、白い紙に少量を垂らして乾燥後の色を確認することが重要です。インクは濡れているときと乾燥後で色が変わることがあります。特に、乾燥後に色が薄くなるインクは多いので、目標より少し濃い色で調色しておくと、乾燥後に近い色になることが多いです。
03 調色したインクの保管
調色したインクは、遮光性のある瓶に入れて保管してください。光に当たり続けると、色素が分解して色が変わることがあります。また、調色の際に使った配合の比率をメモしておくと、同じ色を再現したいときに役立ちます。
インク調色のご相談では、ご希望の色味とお使いのペンをお知らせください。可否や進め方は、内容を確認してからご案内します。ご自身での調色が難しいと感じる場合は、色見本の画像などを添えてご相談ください。
インクの調色は、試行錯誤の繰り返しです。一度で目標の色に到達することは少ないですが、その過程で予想外の色に出会うこともあります。